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公文書館機能の自己評価・点検指標

「公文書館機能の自己評価・点検指標」を公開いたします.指標と合わせて調査票もなども公開しておりますので,各自治体等にてご活用いただければ幸いです.

市町村調査の趣旨、経緯について

全史料協調査・研究委員会は、公文書館機能普及活動の一環として、公文書館の既設、未設を問わず、地方自治体がその公文書館機能を整備、充実させていくうえでの拠りどころを提供するための指標を作成、公表しています(「公文書館機能の自己評価・点検指標」、平成22年度に試案、23年度に最終案を提示)。指標には、自治体が最低限整備しておきたい機能の目安となる「ミニマム・モデル」と、機能達成度の高い「ゴールドモデル」を用意しています。
調査・研究委員会は、「ミニマム・モデル」をもとに、平成23年度に埼玉県および沖縄県内の市町村対象に調査を行い、平成24年度には佐賀県内の市町で調査を行いました。

ミニマム・モデル

  1. 【基本事項】(Q&Aへ)
    1. 歴史資料として重要な公文書等の管理に関する一連の業務が組織法(条例・規則・規程・要綱等その形式は問わない)上、規定されている。
    2. 歴史資料として重要な公文書等に関する業務状況が何らかのかたちで一般に公表されている。
  2. 【保存・管理】(Q&Aへ)
    1. 当該自治体の情報公開条例に規定された実施機関のうち、50%以上の機関の歴史資料として重要な公文書等を収集(移管)の対象としている。
    2. 歴史資料として重要な公文書等の収集方針、評価選別基準(これらに相当するもの)等を明文化し、公表している。
    3. 文書管理等の規程上、歴史資料として重要な公文書等の保存場所を規定し、現用文書の保管場所と異なる専用の場所で管理している。
  3. 【公開・調査研究】(Q&Aへ)
    1. 自らが管理する歴史資料として重要な公文書等の目録を作成し、それが一般に公表されている。
    2. 閲覧を制限する場合の基準を持ち、一般に公開している。また、その基準に該当するものを除いて、一般利用の制限が行われていない。
    3. 標準的な資料複写料金が、当該自治体の情報公開制度による「写しの交付に要する費用」と同等かそれ以下となっている。
    4. 歴史資料として重要な公文書等の収集・保存・閲覧等に関する調査研究を行い、その成果を毎年度公表している。

ゴールドモデル

  1. 【基本事項】
    1. 条例に基づき公文書館的機能を設置・管理している。
    2. 公文書館的機能の運営の基本理念や方針を策定し、公表している。
    3. 公文書館的機能の中長期的経営目標を策定し、公表している。
    4. 公文書館的機能の事業について自己評価を行っている。
    5. 公文書館的機能の事業について外部評価を行っている。
    6. 全史料協・日本アーカイブズ学会・企業史料協など、アーカイブズの専門職団体で、公文書館的機能の設置・管理・運営に関する報告・執筆等を行っている職員を配置している。
    7. 5年以上継続して運営に携わっている職員がいる。
    8. ライフサイクルに配慮した公文書管理を条例で定めている。
    9. 公文書館的機能の一連の業務が複数の職員で情報共有されている。
    10. 管内市町村に対して、歴史資料として重要な公文書等の保存・公開業務の支援、情報提供等を行っている。[都道府県公文書館限定事項]
  2. 【保存・管理】
    1. 文書の作成・管理のプロセス(レコードスケジュールを含む)に業務支援等何らかの形で関与している。
    2. 歴史資料として重要な公文書等の収集(移管)決定権を公文書館的機能が有している。
    3. 設置団体が単年度で作成する資料全体の80%以上を選別の対象としている。
    4. 収集(移管)及び選別作業についての記録を全て保存している。
    5. 廃棄した資料のリストを保存し、公開できるようにしている。
    6. 電子文書・情報の移管・保存を行っている。
    7. 利用頻度が高いと予想される資料の代替化措置を行なっている。
    8. IPM(総合的害虫管理)による保存環境の整備や防災上の配慮等、長期的に資料が保存出来るような処置を取っている。
  3. 【公開】
    1. Webを活用して資料へのアクセスを容易にしている。
    2. 利用可能な全ての資料に関する情報がWeb上で公表されている。
    3. 非公開資料の所蔵情報を何らかの形で公表している。
  4. 【調査研究】
    1. 所蔵資料に関連する資料ついて、その所蔵先に関係なく幅広く紹介できている。
    2. 設置団体の職員に対して所蔵資料等の積極的な情報提供を行っている。
    3. 講演会・講習会・展示など所蔵資料の利用促進をはかる事業を単年度あたり4回以上催行している。
    4. 職員のうち、一年以内に全史料協、国立公文書館、国文学研究資料館等の主催する研修や講座を受講した職員が運営に携わっている。
    5. 設置団体に属するいずれかの機関等(公文書館を含む)と地域資料(主に歴史的私文書等)の収集保存について役割分担等の連携が行なわれている。

ミニマムモデル回答にあたってのQ&A

  1. 【基本事項】
    1. 歴史資料として重要な公文書等の管理に関する一連の業務が組織法(条例・規則・規程・要綱等その形式は問わない)上、規定されている。
      • Q.一連の業務とは何を指しますか。
      • A.保存期間が満了した後、歴史資料として保存すべき公文書等を①選別し、②保存し、③利用に供することを指します。①、②、③とも規定されていれば「はい」に○を、①、②まで規定されていれば「はい」に△を、そのような規定がなければ「いいえ」と答えてください。
    2. 歴史資料として重要な公文書等に関する業務状況が何らかのかたちで一般に公表されている。
      • Q.たとえばどのような公表のかたちがありますか。
      • A.ホームページや「だより」、パンフレットなどが考えられます。
  2. 【保存・管理】
    1. 当該自治体の情報公開条例に規定された実施機関のうち、50%以上の機関の歴史資料として重要な公文書等を収集(移管)の対象としている。
      • Q.文書のボリュームでいえば首長部局が圧倒的に多いと思いますが、単に機関の数だけを勘定すればよいのですか。
      • A.そのとおりです。文書ボリュームに拘わらず、首長部局も1機関、○○委員会も1機関として分母・分子を計算してください。機関とは、貴自治体の情報公開条例で実施機関として挙げられているものに限ります。
      • Q.「移管の対象としている」というのは、それぞれの機関の文書管理規程や庶務規程等で、歴史資料の公文書館、あるいは所管の課室への引渡しを規定している、という意味ですか。
      • A.規定がなくとも、保存期間満了後の公文書等を歴史資料として収集(移管)した実績があれば対象としてカウントしてください。逆に、引渡しの規定があっても、引渡し実績のない機関は対象にカウントしないでください。
      • Q.「実績」とは、当該機関から毎年収集(移管)があるという意味でしょうか。
      • A.過去にその機関から収集(移管)の実績があり、その後も継続的に収集(移管)の調整や協議が行われている場合には実績としてください。
    2. 歴史資料として重要な公文書等の収集方針、評価選別基準(これらに相当するもの)等を明文化し、公表している。
      • Q.たとえば、「重要な事業に関する文書」とか、「条例の改廃に関する文書」といった簡単な項目を10ほど記載した方針ですが、それで該当しますか。また、その方針は、いちど「市民だより」の記事に載せただけですが、これは「公表」にあたるのでしょうか。
      • A.詳細な方針でなくても構いません。また、「市民だより」等に印刷して配布したのであれば、「公表」にあたります。
    3. 文書管理等の規程上、歴史資料として重要な公文書等の保存場所を規定し、現用文書の保管場所と異なる専用の場所で管理している。
      • Q.永年保存の文書庫にエリアを分けて保存管理していますが、その場合は該当しませんか。
      • A.歴史資料として重要な公文書等が、選別され、永年保存文書とは別の管理をされているのであれば、同一の書庫において保存している場合でも設問の条件に該当します。
      • Q.専用の場所で管理していますが、空調がなく、保存環境としては不適です。
      • A.温湿度があまりに高く、カビや害虫が発生し、かえって文書を損なう状態であれば、×と回答してください。
  3. 【公開・調査研究】
    1. 自らが管理する歴史資料として重要な公文書等の目録を作成し、それが一般に公表されている。
      • Q.目録を作成中ですが、まだ未完で全体の50%くらいしか公表していません。人手が不足しているので、なかなか追いつきません。
      • A.目録を作成して公表するという意思が重要ですので、継続的に目録を作成し、公表し続けているのであれば、該当します。
    2. 閲覧を制限する場合の基準を持ち、一般に公開している。また、その基準に該当するものを除いて、一般利用の制限が行われていない。
      • Q.一般公開はしていませんが、閲覧制限についての内規があり、一般利用を制限する場合にはきちんと説明しています。
      • A.その場合は、「はい」に△を記入してください。
    3. 標準的な資料複写料金が、当該自治体の情報公開制度による「写しの交付に要する費用」と同等かそれ以下となっている。
      • Q.歴史資料を複写するための規定がありません。いまは、総務課の事務室のコピー機で求めに応じて複写を提供していますが、料金は徴収していません。今後利用が増えた場合、どうしようか困っているところです。
      • A.その場合は、「いいえ」に○を記入してください。
    4. 歴史資料として重要な公文書等の収集・保存・閲覧等に関する調査研究を行い、その成果を毎年度公表している。
      • Q.「成果」とは学術論文のことですか。
      • A.学術論文に限らず、例えば、資料の利用点数および利用人数の統計や、簡単な報告文等も該当します。

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